教会式の歴史や流れを知ろう!ベールダウンや指輪交換にはどんな意味があるの?

国内挙式

教会式 (キリスト教式)

代表的な4つの挙式スタイルの中でも、最も人気でポピュラーなのが教会式(キリスト教式)。教会式の他にも、人前式、神前式、仏前式がありそれぞれ人気がありますが、花嫁さんからの人気が高いのはやはり教会式。約65%以上のカップルが教会式を選んでいるのだそう。

子供の頃に憧れた結婚式と言えば、純白のウエディングドレスに、長いバージンロードをイメージする方が多いのではないでしょうか。そのイメージに最も近いのが教会式です。由緒ある教会、海や空が見えるチャペルのバージンロードを歩き、牧師様の前で愛する人と永遠の愛を誓い、そして夫婦に・・・。
そんな教会式にスポット当てていきましょう。

教会式の歴史

その歴史は11世紀(1001年~1100年)頃に遡り、今の教会式が認められるようになったのはつい最近の事なのだそう。日本における教会式は明治6年(1873年)に東京で日本人女性と外国人牧師が結婚した事が最初とされています。その後、芸能人が教会式を挙げた事をきっかけに1980年代頃から日本での人気も高まり、今日に至ります。

教会式の流れ

列席者入場
祭壇に向かって右が新郎側。左が新婦側の列席者の席という決まりがあります。そして、前から父母、兄弟、親族、友人の順に座ります。

司式者入場・開式の辞
列席者一同は起立。挙式の司式者である牧師が入場し、開式を宣言します。

ベールダウン
新婦はベールダウンを終え教会に向かいます。ベールダウンは、花嫁を邪悪なものから守る、という意味が込められています。

新郎の入場
列席者一同は起立。新郎が先に入場し、祭壇前で、父親または親族と入場してくる新婦を待ちます。

新婦の入場
新婦は父親または親族と入場し、新郎の横へ。新郎は新婦父から新婦の手を受け取って腕を組み、一緒に祭壇前へ。

賛美歌斉唱
全員起立して賛美歌を歌います。この時の歌は「312番 いつくしみ深き」が一般的。歌詞が載った式次第がベンチに用意してあります。

聖書朗読・祈祷(きとう)
牧師様が聖書の中から婚姻にふさわしい愛の教えを朗読し、神に祈りを捧げます。

誓約
牧師の「病めるときも、健やかなるときも、愛をもって互いに支えあうことを誓いますか?」との問い掛けに対して、最初に新郎次に新婦が「はい、誓います」と誓約します。

指輪の交換
ふたりの婚姻の誓約を目に見える印として、お互いの左手薬指に結婚指輪をはめて交換します。

ベールアップ・誓いのキス
婚姻の誓約を立て、ふたりを隔てるものがなくなったことを表すため新郎が新婦のベールをあげ、誓いのキスを交わします。

結婚証明書にサイン
新郎・新婦、続いて牧師または証人が結婚証書にサインを行います。

結婚成立の宣言
新郎・新婦が手を重ね、その上に牧師が手を置いて祈祷を捧げ、ふたりの結婚が成立したことをゲスト全員に高らかに宣言します。

新郎新婦退場
新郎・新婦が腕を組み、ゲストの拍手を受けながらバージンロードを歩いて退場します。

牧師様の退場
続いて牧師様が退場し、式は終了です。

挙式後
多くの場合は、式終了後に新郎新婦を祝うため、参列者がフラワーシャワー、ライスシャワーなどのセレモニーでゲストがふたりを祝福します。

それぞれの意味

挙式の時、プランナーさんに言われるがままに流れ作業で動作を行うより、一つ一つの意味を噛み締めながら結婚式を挙げればより二人の愛が確かなものになるはず。挙式の時の動作や演出に込められた意味や歴史的背景をご紹介します。

ベールダウン

式が始まる前にベールを新婦は母親に下ろしてもらい、式に送り出してもらう「ベールダウン」。実はヨーロッパに古くから伝わる魔除けの意味があるのだそう。
昔々ヨーロッパのある地方では、教会へ向かう道中で花嫁が悪魔にさらわれるという迷信があったそうです。そのため、結婚式の日は家を出る前に母親が花嫁にベールをかぶせ、悪魔に見つからないようにして教会へ向かったのだとか。花嫁さんのベールには「愛するわが娘が新郎のもとに辿り着くまでに邪悪なものから守って欲しい」という母親の願いが込められているのです。そして母親の娘を思う気持ちは受け継がれ、今日にいたります。「母親が娘にする最後の身支度」としても感慨深い儀式ですね。

バージンロード

バージンロードの始まりをご存知ですか?昔々欧米では教会の下には悪魔がいて「悪魔が幸せそうな花嫁を妬み、さらってしまう」と言い伝えがあり、花嫁を守るために通路に布を敷いて清めたというのが始まりなのだそう。

現代においてのバージンロードは生まれた日から今までの人生を意味しています。教会のドアには花嫁さんが世に生を受けた「誕生」の瞬間を意味し、開く事で花嫁の人生が始まります。最初の一歩は花嫁が誕生して1歳になった日、そて2歩、3歩・・・。バージンロードを歩く一歩一歩は一年ごとを表しています。今までの人生を思い出しながら父親と過去を歩き、父親から新郎にバトンタッチをする瞬間は、「今」。そして新郎と歩むバージンロードは2人で歩む未来を表しています。

余談ですが、バージンロードとは日本ブライダル業界が名づけた、所謂和製英語。海外ではウェディングロード(wedding lord)またはアイル(aisle)と呼びます。

賛美歌斉唱

賛美歌とは、キリスト教の神や聖人をたたえた賛美の歌です。礼拝や集会などで一斉に歌うことが多いですよね。もともとラテン語の賛美歌をプロテスタントの聖歌隊が歌うものでしたが、一般民衆が歌えるようドイツ語に訳され、そして誰もが歌えるようにと変化していきました。
日本のキリスト教式でよく歌われるのは「312番 いつくしみ深き」。そして「429番 あいのみかみよ」です。

讃美歌の最後には「アーメン」という言葉が添えられるのですが、このアーメンとは、ヘブライ語で「そうなりますように」や「そのとおりです」といった同意や共感などを示す言葉です。

結婚式定番の賛美歌 [いつくしみ深き][妹背をちぎる][愛の御神よ] 歌詞や意味は?英語の賛美歌も。
キリスト教の結婚式では必ず歌われる賛美歌。新郎新婦が入場した後と、新郎新婦が夫婦となった事を牧師様が宣言をした後、基本的には挙式の間に2回歌われる事が多いようです。 よく耳にする賛美歌は以下の3つではないでしょうか。 □...

指輪交換

結婚指輪のはじまりとされているのは古代ローマ時代なのだそう。古代ローマのころは男性の立場が上のだったので、結婚指輪は女性が男性に対して「忠誠を誓うしるし」として用いられていたのです。薬指にはめるようになったのは、かつては左薬指の血管は心臓に直結していると信じられていて、もっとも大切な場所に誓ったのです。そして結婚指輪の交換の習慣はヨーロッパ各地に伝わり、結婚式のセレモニーの中に組み込まれるようになりました。現在においては結婚式で結婚指輪を交換するのは永遠の愛を誓い合うという意味が込められていると言われています。

誓いのキス

誓いのキスは「はい、誓います」と神様に誓った結婚の誓約を封印という、神聖な意味があるのです。
キスをする時間は3~5秒がベスト。短すぎるとせっかくの誓いのキスのシーンを写真に残念に納められないですし、長すぎると参列者が恥ずかしい気持ちになってしまうかも。
もし人に見られるのが恥ずかしい場合は、ブーケで口元を隠したり、ほっぺにキスしたりと、キスのパターン様々。実はキスする場所にも意味があるってご存知でしたか?

手の上 尊敬のキス
額の上 友情のキス
頬の上 厚意のキス
唇の上 愛情のキス
瞼の上 憧憬のキス
掌の上 懇願のキス
腕の首 欲望のキス

祝福のシャワー

結婚式後に参列者が新郎新婦に向かって祝福の意を込めて行う演出がこの「祝福のシャワー」。
この祝福のシャワーはローマ時代に起源があると言われています。始まりは新郎新婦が食べ物に困らないようにと小麦を振りかけていた儀式です。そして中世になり小麦からお米へと変わっていきました。お米をまくことは結婚への祝福や厄払い的な意味合いのほか、子宝に恵まれますように・食べ物やお金に困りませんようにという事を願いが込められています。「ライスシャワー」と名付けられ、人々に受け継がれてきました。
その後、エリザベス1世がフラワーシャワーを取り入れた事をきっかけに、現在ではお花を使った「フラワーシャワー」が一般的になってきました。このフラワーシャワーのは、キリスト教における結婚式の最後に花の香りで清め、悪魔や災難から二人を守ってくれ、幸せを祈るという意味が込められているのだそう。
同じ理由で、挙式開始前にバージンロードにフラワーガールが花びらを撒くのです。

最後に

挙式中の何気ない流れの中にも1つ1つ歴史があり沢山の素敵な意味が込められています。その意味を噛み締めながらセレモニーに向かう事でより想いを強めることができると思います。

また、ベールガールやリングボーイ、ブライズメイド・アッシャーがいたり、宗派や牧師様によってベールアップと指輪交換の順番が逆になったりするので、事前にしっかり確認して挙式を迎えてくださいね。